地下鉄に乗っているとほぼ全員がうつむいてスマホやタブレットを見ています。並んで一様に同じ動作をしているのは、やはり奇妙です。
これらの電子機器が目に良くないのは皆さんも周知のことと思いますが、それよりも大きな原因が他にもあるのです。
それは「睡眠不足」と「ストレス」です。
老若男女問わず、眼病が増えているのもここに原因がありそうです。睡眠不足は誰しもが経験されていると思いますが、当然ながら元気がなくなり心身の疲労をきたします。日中の眠気・気力減退・不安感・うつ症・意欲低下・イライラ感などと共に眼精疲労が生じます。
眠りは「脳とこころの栄養」とも言われ、睡眠をとることで「脳の疲れが回復」し、「脳の働きがリセット」されます。その結果、眼精疲労も改善されるわけです。
ところが、睡眠不足の状態に陥ると、成長ホルモンの分泌も抑制されます。さらに、起きている時には、87 % の情報が目から入るとされ、あまりにも多くの情報量からこころと体と脳の働きを疲弊させてしまうのです。
睡眠不足の人は、朝食を食べない人が多く、肥満にもなりやすい傾向にあります。
また、良くないことに感情のコントロールができなくなり、イライラして切れやすいといった負のスパイラルに陥るというリスクもあります。これが影響して視力低下や目の疲れ、ドライアイ、白内障などを引き起こすことも少なくありません。現代人の生活スタイルは夜型に偏っているため、睡眠時間が短いのは大人のみならず子供たちもその傾向にあります。そのせいか体内時計もうまく調節できず、体の不調を訴えるようになってしまうのです。
また、ドライアイの研究者の調査の分析結果によると、ドライアイは
① 労働生産性を低下させる。
② 睡眠の質や幸福度に影響を及ぼす。
③ メタボリックシンドロームに関連する。
中医学的に考慮しても、ストレスによる肝気鬱結、心肝血不足による心身の不寧、肝機能低下による脂質および糖質代謝異常、血管力の低下による抹消循環不良などが、現代人の目を脅かしているようです。
特に目と関連性のある「肝」が休めるのは、23 ~ 2 時の夜中 3 時間といわれています。
十分な睡眠と食養生、こころ穏やかに過ごせるような習慣づくりが眼病予防と回復につながると言えそうです。