30%の子どもの味覚に変化が…東京医科大学の発表とは
10月の発表により、基本となる4つの味覚、「甘み」「苦味」「鹹み(塩味)」「酸味」のいずれかの味を30%余りの子供たちが認識できていない事が顕かになりました。
これは、東京医科歯科大学の研究グループが小学1年生から中学3年生までのおよそ350人を対象に行った調査結果です。本来なら、繊細な味覚をもつと言われる日本人の舌。未来を担う子供たちのからだに何が起こっているのでしょうか?
変化したのは、食生活?
人工甘味料、化学調味料などの添加まみれの食事、激辛ブーム、とてつもなく甘いお菓子類、ファーストフード、ペットボトル飲料等の氾濫により、確かに私たちを取り巻く食事情は大きく且つ劇的に変わりました。
朝は菓子パンと砂糖いっぱいのジュース、昼はハンバーガーと炭酸飲料、夜はカップラーメンやフライもの・ケーキ等など、日本の家庭とは思えない食生活をしている人が少なくありません。
食生活の偏りは、アミノ酸やビタミン・ミネラル類(亜鉛やマグネシウム他多数)の不足や脳への影響、自律神経の失調、生活習慣病の発症などの温床にほかなりません。
脳の栄養不足・体の栄養不足は、成長期である子供たちにとっては大きなマイナス要因です。集中力に欠け、情緒不安定、低血圧、低体温(36.0度未満)、家にひきこもりがちで子供らしい元気がない場合は要注意です。
親から受け継いだものが「先天の本」であるならば、生まれてから食したものは「後天の本」です。
自分の食べたものが本人のからだを構成することは言うまでもなく、味覚異常や精神症状にまで影響することは顕かです。
さらに、夜更かしをする子供たちの睡眠不足は脳の働きにも深刻な影響を及ぼしており、体内時計の狂い、思考能力の低下など日常生活に支障をきたしていることを本人や家族が認識していないことにも問題があります。
いりこ出汁や昆布出汁など化学調味料では味わうことのできない奥深さは、ただ単に美味しいだけでなく、心を豊かにし、体にもエネルギーを満たす力があることを思い出してほしいのです。俗にいう「おふくろの味」を知らずに育ち、コンビニやファーストフードの味がそれに代わるという貧しい時代の子供たちにだけはなってほしくないものです。
健全なからだができて初めて、健全な精神も宿るだけに今回の調査結果は、身につまされるものがあります。将来、生活習慣病を防ぎ日本の健康寿命(健康で長生き)を維持するためにも、今施すべき事は何か?自ずから実践することが見えてきそうです。