体をつくる食事。家族の健康のカギは母にあり!
爽やかな青空が広がる過ごしやすい頃となりました。季節の移り変わりを感じ取りながら充実した日々を送っている方、夏の疲れや時候の変わり目で体調を崩されている方など様々でしょう。
何のストレスもなく健やかに生活できれば問題ないのですが、やはり病気や仕事、家事、介護、育児などに関わっていると、毎日が慌ただしく過ぎていきます。
そのような家族の健康を第一に考えて家庭を守る役割を果たすのが“お母さん”なのですが、中でも日々の食事づくりは重要です。
食事は人のからだを作り、健康を守る土台です。
食養生の思想の中に「薬食同源」があり、「人以食為本、薬補不如食補」(食事で体を養う事は、薬で補うよりも比べ物にならないほど良いものである)と言われています。
また、『神農本草経』(最古の薬物書)に記載された365種の薬物のうち半数以上が現実に食されている物です。これらを1日のうちの食材の一部として摂り入れることで、日々の体調管理を行うのが理想とされています。
『周礼・天官』に記載された「最古の医事制度」では、位は「食医」「疾医」「瘍医」「獣医」の順とされ、「食医」の地位が最も高いとされていました。唐時代の名医・孫思邈(100歳を超えても現役の医師でした)は、「夫為医者、当須先洞暁病源、知其所犯、以食治之、食療不癒、然後命薬」(医者は、まず病の原因を把握し、食事によって治す。食治で癒えない場合は、薬を命ずる)と考え、食物の性質・食味と働きについて説いています。
これは救急の場合は別ですが、世間にあふれている「未病」を治す意味では非常に大切な考え方だと思います。
未病とは病名がつく前の“病気の芽の段階”なのです。
‟病気の芽を摘み取る″そういう意味で、日々の食生活がいかに大切なことなのか、‟お母さんがホームドクター″になり得る所以がここにあるのかご理解いただけると思います。
風邪のひき始めとか、ちょっとした頭痛や日々の疲労など軽医療と呼ばれる分野で活躍できるのが、一般の民であるお母さんなのです。「民の医学」こそが、健康家族を増やし、国民の健康長寿の推進に繋がる土台になるのではないでしょうか。その一端として中医学の知恵が家庭の中に根づくことで、喜びや幸せに溢れるご家庭が増えることでしょう。