「更年期障害」といえば、女性に特有の症状の様にとらえがちですが、10年程前より薬局の店頭でも精神的・肉体的に様々な不調を訴える男性が増えています。
女性の場合、「7年周期」で体の状態が変わっていくのに対し、男性の場合は「8年周期」で体が変化していくと考えます。
5周期目の40歳を境に衰え始め、48歳になると老化が加速し、56歳頃には症状が顕著になります。
まず、夜間トイレに起きる回数が増える、排尿の勢いが弱まってキレも悪くなる、尿漏れなどの排尿トラブルなどがあらわれます。さらに、疲れやすい、のぼせ、ほてり、腰痛、脱毛、めまい、健忘、性欲減退、勃起不全など多くの症状が生じてきます。
中医学では、これらの症状を老化・性機能・生殖機能と関連のある「腎の衰え=腎虚」としてとらえます。
腎陰虚・腎陽虚・腎精不足などタイプによって用いる漢方薬や食養生や生活養生も異なります。ただ、共通して言えるのは、腎の衰えは、生活習慣の乱れにより進行しやすくなり、男性ホルモンの急激な減少にはストレスが関わっている場合が少なくないということです。ホルモンバランスの乱れは不規則な生活習慣により助長されることもあるので、働き盛りの40~50代にとってはゆゆしき問題です。
また、女性更年期障害にもよくある多彩な精神的症状も同様に生じます。例えば、イライラ、怒りっぽい、感情の起伏が激しい、落ち込む、クヨクヨ考える、やる気が出ない、寝つきが悪い、途中で目覚める、熟睡できない、不安感が強い、動悸、めまいなど自律神経の乱れによるものが目立ちます。これは、自律神経のバランスや調節をコントロールする「肝」と「心」の乱れによるものです。肝と心が正常に働くためには、腎のバックアップが必要なのですが、50代半ば頃より「腎」が「肝と心」をサポートしきれなくなるのが現状です。
社会的にも家庭的にもストレスを抱えやすい時期でもあることから過度の思慮やストレスを回避するように敢えて努めましょう。
男性更年期障害の場合、肉体的には「腎の強化」を図り、精神的には「肝と心の調整」を図り自律神経のバランスや調整をスムーズに行える環境づくりが快適に更年期を乗り切る秘訣です。
さらには、家族でまったりと休日を過ごしたり、趣味に取り組んだり、波長の合う仲間との交流を楽しむ等、ストレスの発散を促しましょう。
いずれにしても、できるだけ早い段階で対応することが早期改善につながります。症状が気になり始めたら、日々、無理をせず余裕を持った生活を意識することも大切です。