3 月 3 日はひな祭り♪でもあり、「耳の日」でもあります。電話を発明したグラハム・ベルの誕生日が 3 月 3 日であり、ろう教育者でもあったことから「耳の日」と制定されたようです。
我が国では高齢化の急速な進展により、70 歳以上の人口が 2030 年には約 2,900 万人、2055 年には約 3,000 万人(総人口の約 34 %)に達すると言われています。「聴力」についての調査によると、聴覚障害認定を受けている方(両耳の聴覚レベル 70 db 以上)は約 34 ~ 40 万人とされていますが、WHO 基準(同 41 db 以上)に合わせると、聴覚障害者は約 468 万(総人口の4 %)と想定されます。
耳の症状として、よく挙げられるのが「耳鳴り」と「難聴」です。いずれも改善が難しいとされているものですが、中でも老化に伴う慢性的な耳鳴りに悩んでいる方は少なくありません。
耳鳴りとは、頭の中で「キーン」とか「ジーン」とか「ザーザー」のような不快な音が鳴り続ける状態のことを言います。耳鳴りは大きく「自覚的耳鳴り」と「他覚的耳鳴り」に分類されます。
耳鳴りの大部分は前者によるもので、実際には音がしていないのに自分にだけは音が聞こえる、別名「神経性耳鳴り」というものです。
主に老化やストレスが関係していると考えられています。
後者は、耳の付近や耳管などで実際に何らかの音がしており、聴覚器などで他人にも聞き取ることができるものです。この音は耳の周囲の筋肉のけいれん音、血管内の血流音による雑音で、血流の悪い方、高血圧や糖尿病の患者に多くみられる耳鳴りです。
中医学的に耳鳴りや難聴は、老化に伴う腎精不足や日常の精神的肉体的ストレスから生じると考えられています。
また、「腎は耳に開竅する」ことから耳の聴覚機能は腎と密接な関係があります。すなわち、耳の異常は腎の異常でもあるのです。
腎の働きを強化することで老化すなわち耳鳴りや難聴も発症時期を遅らせたり予防できるのです。
腎には「腎精(生命エネルギー源)」を蓄え、成長・発育・生殖機能を維持させ、耳の機能を調節する働きがあります。
若いころは、体内にこの「腎精」が充実しているのですが、加齢により「腎精」が減少すると、老化現象が始まり生殖機能も減退し、耳が遠くなるなどの症状があらわれてきます。この状態を中医学では「腎虚」といいます。また、耳鳴りはストレスでもあらわれ易い耳の異常です。ストレスは肝に負担をかけますが、「肝」は血液を貯蔵するタンクの働きがあり、肝に溜められた血液は腎精の元となり腎機能を維持します。
また、腎は骨髄をつくり、その骨髄が血をつくり出すのです。このように、腎精の生成には血液が、血液の生成には腎精が必要であるという「精血同源」の考え方が老化の抑制に関わってきます。
【耳鳴りの音と原因】
・ストレス症候群;金属音(キーン)
・脳梗塞;ジェット音(ゴー)
・能卒中;洗濯機音(グァングァン)
・過労;地下鉄音(ガーン)
・成人病;汽笛(ポーポー)
・中高年;野原の虫の声(ジージー)
・OA 機器症候群;風の音(ヒューヒュー)
・自律神経失調症;モーター音(ウォンウォン)
・中耳炎;セミの鳴き声(ミーンミーン)
・突発性難聴;海の波音(ザァザァ)
【耳鳴りの改善法とは】
老化による耳鳴りは腎精や肝血を補充しながら血管力アップや血流障害の改善が必要不可欠です。
自律神経系の自覚的な耳鳴りは、ストレス発散が必要で、漢方薬内服と併せて耳周辺の血流を良くする耳按摩や顎関節の刺激が効果的です。また、慢性化した耳鳴りは耳ではなく脳の過敏症が原因でもあることから「脳鳴り」とも言われます。
中高年の多くは、慢性化した耳鳴りで「脳過敏症候群」(脳がささいな刺激にも反応して神経的な興奮を起こしやすい状態)から生じている可能性が高いのです。
「太鼓をたたいている様に響く音」「セミの大群の音」「鳴り方が激しい」「音は低音」の場合、頭鳴(ずめい=頭全体でなる感じ)と言われます。
日頃から偏頭痛がある方は、将来的に耳鳴りを生じる率が高まるので、鎮痛剤の頻用には注意が必要です。
【耳トラブルの生活&食養生ケア】
① 耳を温めると、高血圧・糖尿病・聴力・慢性疲労が改善します。これは、耳にはたくさんのツボがあるため、内臓の機能がアップすることが功を奏します。
② 脳内の血流を良くする漢方薬を服用します。
③ 血管拡張を抑えて脳の過敏症を緩和するマグネシウム、神経の興奮を抑制するビタミン B2、能の興奮を涼める大豆・海藻類・魚介類・キノコ類・根菜・緑黄色野菜を摂り混ぜた和食を積極的に摂りましょう。
④ ポリフェノールの多い赤ワイン・チョコレート・オリーブオイルなどは、血管拡張させ脳過敏に繋がるので控えめにすることをお勧めします。
☆耳鳴り・難聴などの耳トラブルは、腎臓の働き強化と血流改善が解消の鍵となります。
不快症状を少しでも緩和して、老化のスピードを遅らせ、快適な老後生活を手に入れましょう。