転ばぬ先の杖~骨粗鬆症を防ごう!

投稿者: | 2016年4月8日

日本は長寿大国。

できることなら健康長寿大国になりたいものですね。高齢者が突然寝たきりになるリスクのひとつに大腿骨近位部(頚部)骨折があります。これは生活の質(QoL)を著しく低下させる原因のひとつです。

そもそも骨粗鬆症は、骨量の減少と骨細微構造の破綻によって骨の脆弱化が増加し、骨折のリスクを高める全身性の骨疾患です。初期段階に自覚症状がない場合が多く、骨折して初めて気づくケースもしばしばです。日本では、未受診者も含めて 1100 万人を超えると言われています。

骨強度の低下によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患で閉経後の女性に多発します。50 代女性では 10 人に 1 人、60 代では約 3 人に 1 人、80 代では約 2 人に 1 人の割合で発症しています。

体内のカルシウム(Ca)の 99 % は骨に含まれており、骨は Ca の倉庫なのですが、男女ともに 40 代以降に低減し始め、女性は特に更年期頃より急減します。人間の骨は全部で 206 個あり、海綿骨と皮質骨からなります。

正常な骨には一定の密度があるのですが、骨粗鬆症になると、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いことにより骨に小さな穴が多発して骨の変形・骨性の痛み・骨折の原因となります。

骨のリモデリングの主役は破骨細胞と骨芽細胞で、破骨細胞が古い骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨を作ることで、通常は 1 年間に20 ~ 30 % の骨が入れ替わるのですが、年齢や骨内の Ca 濃度によって新陳代謝の速度は異なります。

原発性骨粗鬆症としては閉経や老化によるものがあります。また、続発性骨粗鬆症としては、内分泌系疾患(男性ホルモン分泌低下による骨吸収の増加など)や消化器系疾患(胃切除後吸収不良症候群や原発性胆汁性肝硬変など)、宇宙飛行士などの宇宙空間(無重力)生活者、関節リウマチ、アルコール中毒患者なども骨粗鬆症発症率が高いとされています。

症状として、進行した場合には
① 慢性の腰や背部の疼痛(椎体の骨折・椎体の偽関節形成・脊柱の変形・骨吸収の亢進)
② 身長低下(脊髄圧迫性骨折)
③ 脊柱後弯(円背)
④ 大腿骨近部位(頚部)骨折などの症状がみられます。

骨粗鬆症の治療として、
① 運動療法(日光浴を取り入れ、骨に適度な負荷をかけ、骨のリモデリングと全身症状を改善)
② 食事療法(Caやタンパク質などの補充;羊肉・牛肉・エビ・ナマコ・牡蠣・山芋・ほうれん草・酢・豚骨スープ・クコの実・ナツメ・山楂子・ニラなどはお勧め食材です)
③ 薬物療法(骨吸収を抑制し、骨形成を促進し、骨質を改善する)
が挙げられます。

骨粗鬆症は、気づいてからでは遅いケースが少なくないので、思春期・青少年期・老年期とそれぞれの時期に合わせた適切な運動習慣が必要とされます。

骨は体の大黒柱。良質の素材を蓄え、病害から身を守るため万全の対策で備えましょう。