肌の乾燥とシワ・空咳の原因は同じもの

投稿者: | 2015年12月2日

冬は、気温が一気に下がるとともに、乾燥の季節でもあります。
もともと「乾燥肌」の人は特に気になる時節です。同時に、冬場になると喉がイガイガする、口渇がある、体調を崩すと決まって喉に痛みが出るという場合は、体質を考慮して秋ごろから養生をはじめる必要があるでしょう。
時候の変わり目や急激な温度変化に伴って、体調不良を必ず引き起こすタイプは、免疫系がバランスを崩している場合が少なくありません。
冬は喘息や空咳など呼吸器系のトラブルが悪化・発症しやすい時期でもあります。これは呼吸器系を含む肺系が秋から冬にかけて最も弱る臓腑だからです。
肺は「嬌蔵」といわれるデリケートなお嬢様臓器です。乾燥してカピカピになるとトラブルを引き起こしやすく、適度な潤いがあるとご機嫌です。肺系に適度な潤いを与えるのは、▽ナシ▽ユリ根▽レンコン-などです。
空咳や喉の痛みが生じている場合は、ショウガ・トウガラシ・ニンニク・ラッキョウ・ワサビなどの香辛料や焼酎・コーヒーなどは控えましょう。
また、顔のみならず、手や体幹部、足などもカサカサして皮膚が剥がれ落ち、粉をふく状態のドライスキン(乾燥肌)も、皮毛を司る肺系の陰虚(潤い不足)が根本的な原因です。これらの症状は、体の根っこに相当する腎系の陰虚および精虚があることを見落としてはいけません。植物も健康な根っこから栄養や水分を吸収できなければ、立派な幹や枝葉が生長しないように、人間の体も腎機能が丈夫ではない場合、枝葉に相当する肺系も必然的に虚弱になります。
生まれつき体の虚弱なタイプ・慢性病・お年寄りは腎陰虚および腎精虚の状態にあり、▽微熱が続く▽口渇▽乾燥肌▽シワが目立つ▽手足がほてる▽頭がボーっとして虚無感がある-などは典型的な特徴です。このような状態で冬という乾燥の時期を迎えると、体の上焦・下焦部ともに潤い不足の状態である肺腎陰虚に至ります。喘息やアトピー性皮膚炎なども素体に肺腎陰虚があり、そこへ湿気や暑熱、誤った食生活や生活習慣、ストレスが重なることでさらに悪化すると考えられます。
喘息に関しては、〞命門の火″ といわれる腎系の中にあるボイラーのような機能が低下し、十分に体全体を温められず、陽気不足となります。これにより全身の機能低下が生じますが、体の弱いところから症状が現れるため、秋冬に抵抗力の弱る呼吸器系の症状が目立ちます。肺系を潤すことは必要ですが、水分の摂り過ぎは腎系の陽気を奪うので注意が必要です。