体外受精児は日本で約 38 万人出生、世界で 600 万人以上出生

投稿者: | 2016年6月7日

6 月 4 ~ 5 日、東京・虎ノ門で開催された第 38 回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター講座へ参加してきました。

本講座には生殖医療に携わる看護師・助産師・保健師・エンブリオロジスト・臨床検査技師・医師・薬剤師・不妊カウンセラー・生殖医療に関心のある方々が参加し、生殖医療の理論と内容を十分に理解し、カウンセリングスキルを学ぶことを目的としています。

毎回、生殖医療関連分野の多数の著名な第一線専門家が講師を務め、常に最新の生殖医療情報を網羅したプログラムとなっており、各領域の方々が手を携えて不妊に悩む方々をサポートすることも本講座の趣旨でもあります。

今回も、国際医療技術研究所 IMT College の荒木重雄医師より生殖医療にかかわる染色体と遺伝子の総集編のお話がありました。

細胞分裂のお話やダウン症候群・ターナー症候群・クラインフェルター症候群などの染色体異常の発現メカニズムを詳しくご講演くださいました。

今や日本でも出産の高齢化が進み、体外受精児の出生も約 38 万人を超えました。世界では 600 万人以上にも上ります。

そのような中、染色体異常による問題も増えており、近年では「出生前診断検査」が患者の希望により行われるようになりました。但し、検査前後の遺伝カウンセリングが重要でプライバシーの保護に留意するご本人・血縁者・家族に不利益が生じないように配慮する必要があります。

「出生前診断」の種類としては、
① 確定的出生前診断検査(羊水検査・絨毛検査)
② 非確定的出生前診断検査(NT;Nuchal Translucency)
③ 母体血清マーカー検査(ソフトマーカー)
④ 非侵襲的出生前診断検査(NIPT; Non-Invasive Prenatal Testing)
が挙げられます。

その他、体外受精で得られた卵子・分割期胚・胚盤胞から極体、割球、栄養膜細胞を一部採取して、遺伝情報を解析し卵子あるいは胚の異常や疾患の有無を診断する方法を「着床前診断」といい、着床前スクリーニング(PGS)や着床前遺伝子診断(PGD)に大別されます。
 PGS は、高齢女性あるいは体外受精反復不成功例に試みられ、PGD は 8 細胞程度の分割球から1つの割球を取り出し、遺伝子診断を行います。

その他にも各分野ご活躍中の不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターの方々の最新の情報を交換し合える大変有意義な時間を過ごすことができました。

今後も不妊に悩む方々へのサポートとして、生殖医療を熟知したヘルスケアプロフェッショナルの皆さんのご協力が益々求められることでしょう。