風邪のタイプにもいろいろとあります。
通常、風邪というと寒い時期に乾燥した空気によって感染しやすい「冬の風邪」です。
寒気がある・頭痛・鼻水など冷えた症状の【青い風邪】は、お馴染みの「葛根湯」を良く用いますが、これは風邪のほんの初期症状のみが適用範囲です。例えば、熱が高く、のどが腫れて痛む、口が乾く、咳、頭痛がある、痰や鼻水が黄色く粘る【赤い風邪】の場合は、「天津感冒片(銀翹散)」がピッタリです。この時に葛根湯を服用すると悪化することもありますので、ご注意ください。
次に、梅雨時期に多いのが、【黄色い風邪】と呼ばれる「胃腸型の風邪」です。
雨が降り続きジメジメ、気温が下がる夜間や早朝にはひんやりとして、胃腸に負担がかかりやすく、吐き気や下痢などの胃腸症状が目立ちます。中には、便秘が続き食欲減退になる方も・・・
そして、これからの季節は「夏の風邪」に要注意です。
発熱・鼻水などの一般的な風邪症状に加えて、全身がだるく、食欲不振に陥り、下痢・嘔吐などの胃腸障害を伴います。これは、高温多湿の夏に、冷たいものを過剰摂取し胃腸を傷つけてしまうことに原因があります。エアコンの中で過ごす時間が多い場合も気をつけましょう。
こんな症状にお勧めなのが、夏バテによる食欲不振や下痢・倦怠感にも重宝する「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう、藿香正気散)」です。香りが良いので、胃腸の機能も蘇ること間違いなしです。さらに気の巡りを良くする「頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう、川芎[せんきゅう]茶調散)」は、重たい鍋を被ったようなしつこい頭痛や頭重にもお勧めです。
その他、のどの痛みや咳に症状が偏っている場合や、鼻炎や蓄膿症にまで進みやすい場合は、それぞれに適応できる処方もありますので、適切なものを服用していただくと良いでしょう。
いずれにしても、季節を問わず、風邪をひきやすくこじらせやすい方は、温度変化の大きい際や季節の変わり目に体調を崩しがちです。過労やストレス、低体温などにより、外邪の侵入を防ぐバリア力が不足しているのかもしれません。寝汗や鼻水などちょっとしたことでも見過ごさず、「衛益顆粒(えいえきかりゅう、玉屏風散)」などで体の防衛力を高めて免疫機能を強化しましょう。
また、ウイルスなどが体内に侵入した際には、「板藍根」を主成分としたお茶などでうがいをしたり、ご家庭で飲用することをお勧めします。