急激な気温の低下で寒気が日本列島を覆う頃、発症しやすいのが『痺証(ひしょう)』すなわち様々な『痛み』です。
『不通則痛(ふつうそくつう)』⇒通じざればすなわち痛むとは、気血の流れが滞り、通じないことで痛みが発生します。頭痛・肩こりに始まり、腰痛・五十肩・四肢のしびれ・膝関節痛・脳梗塞や心筋梗塞の前兆まで様々な症状があります。
飲食店や魚市場など水回りの職場、農作業や屋外での作業を強いられる場合など、体そのものは元気であるけれど身を置く環境の影響を受けて痛みが強く出ることがあります。
痛みの種類も針で刺されるように痛むもの、張った感じを伴うもの、絞られるような感じのもの、痛みの部位が固定しているなど激しいのが特徴です。
風邪・寒邪・湿邪などが弱った体の経脈や関節に入り込み、気血の流れが阻害されて痛みが生じるわけですが、この場合を『不営則痛(ふえいそくつう)』⇒営養されなければすなわち痛むと言います。すじや筋肉に栄養が行き渡らず、筋肉がこわばり、屈伸不利が起こります。さらにしびれやひきつりも生じやすくなります。
お年寄りや産後の女性など気血が消耗し、身体全体が虚弱になっている状態の時に発症しやすいのが特徴です。
痛みの種類としては、疼くようなもの、鈍く重い感じなど隠痛が多くみられます。
生活環境も大きく影響して、過労やストレス、湿気の多い環境での生活や屋外で風雨に曝されることで痺証(痛み)は生じます。
誘発素因としては、家事や仕事などの生活習慣から生じやすいのが腰痛・リウマチ・頭痛・足の冷え・しびれなどが、食生活(飲酒や魚卵)からは痛風や関節痛が、ストレスや不安感からは神経痛や頭痛が、過労や外傷からは肩こりや腰痛が発症しやすいと考えられています。
痺証(痛み)は、主に筋肉・骨格・関節に様々な症状が生じます。その部位と症状についてご紹介いたします。
肩;凝る、夜になると痛む、腕が上がらない。
首;凝る、痛み、首から手がしびれる。
手・指;指が動きにくい、ひっかかる、こわばる。
肘;痛み、物をもつ時やタオルを絞る時に痛む。
腰;腰痛、歩くと足がしびれる。
股関節;股の付け根が痛い、歩くと痛い。
膝;痛み、坂道や階段を降りる時に痛む、ひねると痛む。
足;こむら返りやひきつり、足の裏が痛い、かかとが痛い。
いずれの場合も、栄養と休息は十分にとることが大切で、ストレスや過労は出来る限り溜めないことが治療と予防には不可欠です。