立冬を過ぎる時期になると、朝・晩が非常に冷え込んできます。
頻繁にトイレに駆け込んだり、夜中に何度も尿意で目を覚ましてしまい不眠になる一方、尿の出が悪くすっきりしないといった尿量減少のトラブルも多くなります。
「トイレが近い」「尿の出が悪い」、これはいずれも腎の機能が低下している可能性があります。足腰の冷えや腰痛、浮腫などがともなえば、腎を温める”腎陽″が不足している証拠。
「腎陽虚症」といわれ、腎の水分代謝機能が低下して尿トラブルを引き起こします。高齢者の尿失禁の原因も同様に考えられます。
これらの症状を改善するには、腎の陽気を補い、働きを強めることが大切です。
また、気温の低下とともに体が冷え、血流が悪くなると生じやすいのが、足のひきつりやこむら返り。筋や筋肉が冷えて縮むことが原因で、夜間に最も症状が現れやすくなります。
特に月経による失血の多い女性や出産後、貧血傾向で血が薄いといわれるタイプに多く見られます。
干しイカや干しアワビをイメージしてください。水分を多く含む生の状態ではイカもアワビも柔らかく弾力性に富んでいますが、干して乾燥させると縮んで弾力性に欠けます。
まさに津液(体の潤い分)と血液(体を温め栄養するもの)が不足した状態です。
これを「陰虚症」といいます。歳を重ねるとともに、▽シワが増える▽髪がパサパサ▽ドライアイ▽ドライスキン(乾燥肌)▽ドライマウス(口腔系の乾燥)▽ドライバジャイナ(陰部の乾燥)― が進みやすくなります。
寒さに向かう季節は、気温低下による陽気不足と、乾燥、すなわち潤い不足が体に嬉しくない症状を引き起こしやすくなります。また、秋は乾燥が強いため”肺”に影響しやすく、呼吸器系疾患に注意が必要です。風邪をひきやすい人や喘息、アレルギー症状のある人は、免疫系も機能低下を起こしやすいので早めの対処が必要です。
生命の源である”腎”は、冬の寒さが苦手です。頻尿や尿の出が悪い、膀胱炎などは、水浸しの土壌で植物が根腐れを起こしている状態。冷たい飲食を控えるほかにも、みかんや柿など水分を多く含み体を冷やす果物は控えた方が良いでしょう。根菜類は体の根っこである”腎”の栄養分にもなり得るため、秋冬の蓄えの時期にはありがたい食材です。